虫歯、またはう蝕(うしょく)とは、歯の硬い組織を細菌による酸が溶かし、破壊していく病状です。
虫歯と言っても、進行具合によって症状も治療方法も異なります。
虫歯が進行していない小さな虫歯の段階で治療ができれば短期間で少額の治療費で終わりますが、進行が進んでいる虫歯であれば、詰め物や被せ物、根管治療、抜歯など、治療期間も通院回数も増え、金銭的な負担も大きくなっていきます。
ご自身の歯に虫歯があるかどうか、どれくらい進行しているかは、ご自身で正確に判断することはできません。
そのため、定期的な歯科医院での検査でチェックするようにしましょう。
この記事では、歯を失う主な原因である虫歯と歯周病のうち、虫歯に焦点を当て、虫歯の進行度とそれぞれの進行段階における適切な治療法について詳しく解説していきます。
【この記事の監修歯科医師】
越前谷 澄典 先生
歯科医師/歯学博士
医療法人社団スマイルオフィスデンタルクリニック 理事長
GDHインプラントオフィス札幌 院長
北海道医療大学歯学部卒業。
年間1,000本以上のインプラント埋入の手術を行ない、日々歯科の技術と知識の向上に情熱を注いでいます。
目次
1. 虫歯の進行段階
・CO(初期の虫歯)
・C1(エナメル質の虫歯)
・C2(象牙質の虫歯)
・C3(神経まで達した虫歯)
・C4(歯根まで達した虫歯)
2. 虫歯進行度ごとの治療方法
・COの処置:フッ素塗布
・C1の治療法:CR
・C2の治療法:インレー
・C3の治療法:クラウン
・C4の治療法:抜歯
1. 虫歯の進行段階
虫歯の進行段階とその症状について解説します。
・CO(初期の虫歯)
初期虫歯は、歯の表面にあるエナメル質がわずかに溶け始めている段階です。
目に見える穴はなく、白っぽい斑点として視認されることがあります。
この段階では痛みは感じられません。
・C1(エナメル質の虫歯)
虫歯がエナメル質を超えて深く進行し始めると、小さな穴が見え始めることがあります。
自覚症状をほとんど感じることがないため、定期的な検診での発見が不可欠です。
この段階での治療は比較的簡単で、進行を止めることが可能です。
・C2(象牙質の虫歯)
象牙質まで達した虫歯は、冷たい飲食物や甘いものに敏感になることが特徴です。
象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行が早くなります。
歯がしみるといった場合はC2の段階か知覚過敏を疑ったほうがいいです。
この段階で虫歯を放置すると、内部へ進行し神経にまで達してしまい、痛みが増し、さらに深い治療が必要になります。
・C3(神経まで達した虫歯)
虫歯が歯の神経(歯髄)に達すると炎症を起こし、激しい痛みを伴い、腫れたり、しばしば夜間にも痛みが現れることがあります。
また、熱いものがしみるといった症状もあります。
この段階では根管治療が必要となり、治療はより複雑で時間を要します。
・C4(歯根まで達した虫歯)
最も進行した形の虫歯は、歯根にまで達しており、しばしば歯を支える骨にも影響を及ぼします。
この段階では抜歯が避けられず、その後の補綴が必要になることが多いです。
2. 虫歯進行度ごとの治療方法
虫歯は各進行段階で適切な処置を行わないと、どんどん進行してしまいます。
虫歯の進行度ごとの治療法について説明します。
・COの処置:フッ素塗布
初期虫歯の段階では、特に歯を削るような治療は必要ありません。
虫歯の進行を抑える予防的な処置として、フッ素塗布が効果的です。
歯にフッ素を塗布することで、エナメル質の再石灰化を促進し、虫歯の進行を防ぐことができます。
・C1の治療法:CR
C1段階の虫歯はとても小さく、コンポジットレジンを用いた修復(CR)で治療されます。
虫歯の部分を削り、その部分にレジンを直接付けて歯の形状を整えるという方法です。
ほとんど痛みもなく、1回の来院で終わります。
・C2の治療法:インレー
C2の段階では、虫歯が広範囲になっているため、詰め物(インレー)を用いて修復します。
広範囲に歯を削るため、治療の際に麻酔が必要となってきます。
インレーの素材は保険の適用となるものから自費のものまで選ぶことが可能です。
特にお勧めなのは自費治療のジルコニアインレーです。
ジルコニアインレーは耐久性が高く、プラーク(細菌)が付着しにくく、見た目も自然な仕上がりとなります。
自費診療のため治療費の負担は高くなりますが、それだけ美しい仕上がりとなり、長持ちします。
・C3の治療法:クラウン
C3段階の虫歯では、根管治療が行われ、感染した神経組織が取り除かれた後、コア(土台)を立てて、クラウン(被せ物)を被せます。
これにより、歯の機能が保たれ、さらなる損傷から保護されます。
クラウンも保険治療と自由診療の素材があります。
神経を抜いてクラウンを装着した歯は再治療が非常に困難となり、歯の寿命も短くなります。
そのため、次また悪くなったら抜を抜くことになると思って頂き、できるかぎり長持ちする素材でクラウンを作成することをお勧めします。
・C4の治療法:抜歯
C4段階の虫歯に対する主な治療は抜歯です。
どうしても歯を抜きたくないという患者様のお気持ちもわかりますが、虫歯の菌にひどく感染している状態のため、抜かないと隣の歯に感染したり、口腔内だけでなく血管から全身に侵入していく恐れがあります。
抜歯後は、ブリッジやインプラント、入れ歯によって欠損を補う必要があります。
3. まとめ:歯が痛む前に定期的なチェックを。
虫歯は進行すると治療が困難になるため、定期検診と適切な口腔衛生が非常に重要です。
また、一度虫歯を治療をすれば大丈夫ということはありません。
CRやインレー、クラウンなどで歯を補った後、再びその部分が虫歯になる二次う蝕(二次虫歯)から歯を予防する必要があります。
日々の歯磨きなどのケアと早期の介入によって、健康な歯を維持することが可能です。
定期的な歯医者の受診と何か気になる症状があれば早めに相談してください。
早期に治療を行うことで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
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