インプラント治療は保険適用外となり、医院によって料金は様々です。
そのためインプラント治療を検討されている多くの方が、まず気になるのが費用だと思います。
インプラント1本にかかる費用の相場ですが、インターネットで調べてみると、「1本20万円台」「50万円以上かかることもある」など、さまざまな情報が出てきて、結局いくらが適正なのか分からないと感じてしまう方も少なくありません。
インプラント治療は自由診療のため、医院ごとに費用設定が異なり、その価格差にはきちんとした理由があります。
単に「高い・安い」だけで判断してしまうと、治療内容や将来の安心に大きな差が生まれてしまうこともあります。
この記事では、
・インプラント1本の一般的な相場
・費用の内訳と総額の考え方
・医院ごとに価格が違う理由
・後悔しないために知っておきたいポイント
について、歯科医師の立場から分かりやすく解説していきます。
「自分の場合はいくらくらいかかるのか」「この金額は妥当なのか」
そんな疑問を解消し、納得して治療を選ぶための判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。

【この記事の監修歯科医師】
吉田 茂生 先生
歯科医師
スマイルオフィスデンタルクリニック西野 院長
北海道医療大学歯学部卒業。
患者様にとって人生最後の治療になるよう、日々歯科の技術と知識の向上に情熱を注いでいます。
1. インプラント1本にかかる費用の相場は?
インプラントを1本治療するのにかかる費用の相場は、
・事前検査・診断
・インプラント手術
・被せ物(人工歯)
・麻酔や術後の管理・メンテナンス
といった複数の工程を含めて、おおよそ40万円前後です。
インターネット上では「20万円台」「格安インプラント」といった表記を目にすることもありますが、それらは治療費の一部のみを切り取った金額である場合も少なくありません。
そのため、インプラントの費用を考える際には、表示されている金額が「どこまで含まれているのか」を必ず確認することが大切です。
2. インプラント1本の費用内訳とは?

インプラント1本の費用は、単に「インプラントを埋める手術代」だけで決まっているわけではありません。
安全性・精度・長期的な安定性を確保するために、複数の工程と費用が含まれています。
ここでは、一般的なインプラント治療に含まれる主な内訳を解説します。
事前検査・診断の費用
インプラント治療では、治療前の診査・診断が非常に重要です。
具体的には、
・レントゲン撮影
・CT撮影による骨量・神経位置の確認
・口腔内検査・噛み合わせの確認
・治療計画の立案
などを行い、安全にインプラントが行えるかを慎重に判断します。
この工程を丁寧に行うことで、手術中・手術後のトラブルを防ぐことにつながります。
インプラント手術の費用
次に、人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋入する手術の費用です。
この中には、
・インプラント本体(メーカー・種類)
・手術に必要な器具・材料
・手術に伴う技術料
などが含まれます。
使用するインプラントメーカーや、症例の難易度によっても費用は変わります。
上部構造(被せ物・人工歯)の費用
インプラントの上に装着する「歯の部分」が、上部構造です。
多くの場合、
・見た目の自然さ
・強度・耐久性
・噛み心地
を考慮し、ハイブリッドレジンやジルコニアといった素材が使用されます。
素材や製作工程、精度によって価格に差が出やすい部分でもあり、インプラント全体の費用に大きく影響します。
麻酔・術後管理・アフターケアの費用
インプラント治療では、
・手術時の麻酔
・術後の投薬
・経過観察
・定期的なチェック
といった術後管理も非常に重要です。
これらの費用があらかじめ含まれている場合もあれば、別途設定されている医院もあります。
「相場=総額」で考えることが大切
インプラント1本の相場が40万円前後といわれる理由は、これらすべてを含めた総額で考える必要があるからです。
そのため、表面上の金額だけで判断せず、「どこまでの費用が含まれているのか」を理解したうえで比較することが大切です。
3. なぜインプラント1本の費用は医院ごとに違うのか?
インプラント1本の相場は40万円前後が目安とされていますが、実際には医院ごとに費用に差があります。
この違いは、単なる価格設定の差ではなく、治療の質や安全性に関わる要素の違いによって生まれています。
ここでは、費用に差が出る主な理由を分かりやすく解説します。

治療を行う歯科医師の技術・経験の差
インプラント治療は、歯科医師の診断力や経験が結果に大きく影響する治療です。
・骨の状態を正確に判断できるか
・神経や血管の位置を考慮した安全な治療計画が立てられるか
・噛み合わせまで含めて長期的に設計できるか
こうした技術や経験の差は、治療の安全性やインプラントの長期安定性に直結します。
専門的な症例を多く扱い、十分な経験と研鑽を積んでいる医院ほど、その分のコストが治療費に反映される傾向があります。
設備の差(滅菌体制・手術環境)
インプラント治療は外科処置を伴うため、院内の設備や感染対策体制も非常に重要です。
・歯科用CTなどの精密な診断設備
・インプラント手術に適した治療環境
・器具の徹底した滅菌・感染対策体制
こうした設備が整っていることで、感染リスクを抑え、より安全な治療が可能になります。
設備投資や滅菌体制を重視している医院ほど、治療費にその分が反映されることがあります。
使用するインプラントメーカー・システムの違い
インプラントには世界中に多くのメーカーがあり、
・長期的な臨床データが豊富なもの
・厳しい品質管理のもとで製造されているもの
・保証やサポート体制が整っているもの
など、メーカーごとに特性や信頼性が異なります。
信頼性の高いインプラントほど、コストが高くなる傾向がありますが、その分、長期的な安定性や安心感につながります。
また、インプラントメーカーごとで使用する器具が異なります。
そのため、将来的に転院などで他の医院でメンテナンスや治療を受けるといった場合、転院先がそのインプラントメーカーに対応していないと治療が受けられない可能性もあります。
一番のリスクはそのインプラントメーカーが倒産してしまい、必要な器具を購入できなくなってしまう場合です。
そのため、信頼できる大手のインプラントメーカーがおすすめです。
被せ物(上部構造)の素材・精度の違い
インプラントの見た目や噛み心地を左右するのが、被せ物(人工歯)です。
・素材(セラミック・ジルコニアなど)
・噛み合わせの調整精度
・技工物の製作工程
によって、仕上がりや耐久性に差が出ます。
精度の高い被せ物ほど、製作コストや調整にかかる時間が増えるため、費用にも反映されます。
保証・メンテナンス体制の違い
インプラントは、治療が終わればそれで完了というものではありません。
・定期的なメンテナンス
・万が一のトラブル時の対応
・保証制度の有無
といった治療後のサポート体制も重要なポイントです。
長期的なフォローを前提とした医院ほど、その体制を維持するための費用が反映されることがあります。
「安い・高い」ではなく「何が含まれているか」が大切
患者様のケースによっては骨造成が必要となる場合もあったり、前歯か奥歯かでも治療費が変わることもあります。
インプラントの費用を比較する際は、金額だけを見るのではなく、
・どこまでの治療が含まれているのか
・将来の安心まで考えられているか
という視点で判断することが大切です。
4. インプラント1本が「安すぎる」場合の注意点
インプラント治療を調べていると、「1本20万円台」「格安インプラント」といった表記を目にすることがあります。
費用が抑えられるのは魅力的に感じますが、安さだけで判断してしまうと、後から後悔につながるケースも少なくありません。
ここでは、特に注意しておきたいポイントを解説します。

表示されている金額に含まれていない費用がある
「インプラント1本〇〇円」という表示が、治療費の一部のみを示しているケースは珍しくありません。
例えば、
・事前検査やCT撮影が別料金
・被せ物(人工歯)が含まれていない
・麻酔や術後管理費が別途必要
といった場合、最終的な総額が想定よりも高くなることがあります。
費用を比較する際は、総額でいくらになるのかを必ず確認しましょう。
使用しているインプラントや被せ物の質が異なる
極端に安い場合、
・インプラントメーカーの選択肢が限られている
・被せ物の素材や精度が簡略化されている
といった可能性も考えられます。
すべての低価格治療が問題というわけではありませんが、長期的な安定性や耐久性について、十分な説明があるかどうかは重要なポイントです。
保証やメンテナンス体制が十分でない場合がある
インプラントは、治療後のメンテナンスが非常に重要な治療です。
安価な治療では、
・保証期間が短い、または保証がない
・定期的なメンテナンスが別料金
・トラブル時の対応が限定的
といったケースも見られます。
治療後まで含めて、どこまでサポートしてもらえるのかを確認することが大切です。
価格だけで判断せず、説明の分かりやすさを重視する
信頼できる医院ほど、
・なぜこの金額なのか
・何が含まれているのか
・将来的なリスクや注意点
について、丁寧に説明してくれます。
価格だけでなく、納得できる説明があるかどうかを基準に選ぶことで、安心してインプラント治療を受けることができます。
5. インプラント1本の費用は医療費控除の対象になる?

「インプラントは高額だから、医療費控除は使えるの?」
この点を気にされる方はとても多くいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、インプラント治療は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。
インプラントは「審美目的」ではなく医療行為
医療費控除の対象となるかどうかは、「治療が生活に必要な医療行為かどうか」が判断基準になります。
インプラント治療は、
・噛む機能の回復
・食事や発音の改善
・口腔機能の維持
を目的とした治療であり、国も「生活に必要な医療行為」として認めている治療です。
そのため、審美目的のみの場合を除き、多くのケースで医療費控除の対象となります。
医療費控除でどれくらい戻る可能性がある?
医療費控除では、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えると、所得税の一部が還付されます。
例えば、
インプラント治療費:40万円
所得税率:10%
住民税率:10%
の場合、
還付される所得税:3万円
減税される住民税:3万円
といったように所得に応じて所得税と住民税が還付、減税される可能性があります。
※実際は、所得・家族構成・他の医療費や控除によって異なりますのでご注意ください。
支払いの方法は現金やクレジット、デンタルローンなどありますが、どのような支払い方法でも医療費控除の対象となります。
医療費控除についてはこちらの記事をご参照ください
6. インプラントで後悔しないための医院選びのポイント
インプラント治療は、「どの医院で受けるか」によって、結果や満足度が大きく変わる治療です。
費用の相場を理解したうえで、以下のポイントを意識して医院を選ぶことが、後悔しないインプラント治療につながります。
相場だけで判断しない
インプラント1本の相場は40万円前後が目安ですが、金額だけを基準に選んでしまうと、治療内容や将来の安心を見落としてしまうことがあります。
「なぜこの金額なのか」
「どこまでの治療が含まれているのか」
を丁寧に説明してくれる医院を選ぶことが大切です。
治療内容やリスクについて分かりやすく説明してくれるか
信頼できる医院ほど、
・治療の流れ
・メリットだけでなく、デメリットやリスク
・治療後に気をつける点
についても、分かりやすく説明してくれます。
質問に対して誠実に答えてくれるかどうかも、大切な判断基準です。
治療後まで見据えた体制が整っているか
インプラントは、治療後のメンテナンスが長期的な安定に直結します。
・定期的なチェック体制
・万が一のトラブル時の対応
・保証制度の有無
など、治療後まで責任を持って診てくれるかを確認しましょう。
自分が「納得できるかどうか」を大切にする
最終的に大切なのは、ご自身がその治療内容・費用に納得できているかどうかです。
不安や疑問を抱えたまま治療に進むのではなく、納得できるまで相談し、説明を受けることが、安心してインプラント治療を受ける第一歩になります。
7. まとめ|インプラント1本の相場を正しく理解し、納得の治療を
インプラント1本の相場は、おおよそ40万円前後がひとつの目安です。
ただし、金額だけで判断するのではなく、
・費用の内訳
・医院ごとの違い
・治療後まで含めた体制
を理解したうえで選ぶことが重要です。
インプラント治療について不安や疑問がある場合は、まずは無料カウンセリングなどを活用し、ご自身の状態に合った治療や費用について相談してみることをおすすめします。

