「インプラント治療は危ない」
「インプラントはやめたほうがいい」
実際にそうした声を患者様から聞くことがありますし、残念ながら「インプラントは危ない」というのが日本国内での世間的なイメージだと思います。
インプラント治療は患者様の満足度も高く、エビデンスに基づいたとても素晴らしい治療です。このインプラント治療の素晴らしさを知って頂くためにも、メリットだけでなく、リスクや危険性についても正しく理解して頂くことが大切だと考えています。
札幌市で3,000本以上インプラント手術実績のある歯科医院スマイルオフィスデンタルクリニック西野の越前谷澄典院長がインプラント治療時に考えられる偶発症とその対策についてご説明します。
>> 越前谷先生のこれまでのインプラント治療実績

目次
1.インプラント治療は危険なのか?
国民生活センターでも実際の患者様からの声としてインプラント治療におけるトラブルというのは報告されていますが、本当に「危険」と呼べるトラブルは極めて少数です。
「聞いてなかった」と言うような説明不足なものから、保険適応外のための金銭的なトラブル、インプラント治療とは直接的な因果関係がないトラブルばかりです。これらはほとんどが避けられるトラブルですし、患者様と歯科医院側との信頼関係の問題だったりします。
こうしたトラブルから「インプラント=危険」というイメージが作られているのだとは思いますが、そのなかでもごく稀にいわゆる本当に「危険」と呼ばれるトラブルもあります。
それがインプラントの手術時における偶発症です。
2.インプラント治療が危険な理由
インプラント治療を行うのが危険な症例は、この偶発症のリスクが高い症例です。
偶発症というのはその名のとおり予期せず起きてしまうことです。手術である以上、絶対安全とは言えない理由がこの偶発症です。
偶発症を引き起こしてしまう主な原因、つまりインプラント治療が危険な理由として①歯科用CTを使っていない、②器具の滅菌体制などの衛生管理が不十分、③歯科医師の診断と治療の技術不足があげられます。
逆にいうと、この3点こそが偶発症のリスクも限りなくゼロにすることにも繋がります。
2-1.歯科用CTを使っていない
偶発症の代表例が神経麻痺や血管損傷です。こうした危険を避けるためにも歯科用CTは必須です。
未だにインプラント治療を行う際にパノラマレントゲン写真だけを頼りにインプラント治療を行っているといった報告を耳にしますが、インプラント治療を数多く行っている私からしても恐ろしくてそんなことはできません。
2-2.衛生管理が不十分
器具を滅菌せずに使用したり、手術時の器具の取り扱いなど院内感染対策が不十分であれば細菌感染を引き起こしてしまいます。どこの歯科医院でもこうした衛生管理はインプラント手術を行う術者が直接行うことはほとんどなく歯科助手や歯科衛生士といったアシスタントスタッフが行います。
つまり、インプラント治療は術者の手技だけでなく、スタッフ含めてチームで行う必要があるということです。先生が素晴らしいのはもちろん大切ですが、チーム医療としてインプラント治療を行える環境を整えているかが衛生管理のポイントとなります。
2-3.歯科医師の診断と治療の技術不足
技術と言っても手技的な技術だけでなく、「これはどれだけ危険性が高いか」といった診断の部分の技術も非常に大切です。
親知らずの抜歯などで「難しいから大学病院を紹介します」と言われたことがある患者様は多いと思いますが、これこそがとても大切なことなのです。
私もインプラント手術だけでなく親知らずの抜歯なども数多くの経験があり自信もありますが、それでも「これは怖いな」という症例はありますし、そうした場合は大学病院などへ紹介します。
患者様からリスクを承知のうえでどうしても先生に抜いて欲しいと仰って下さった場合は行います。意外とそうした手術のほうが何事も起こらないのが偶発症の怖いところです。それで過信して油断すると起こるから偶発症なのです。
3.インプラント手術で起こりうる偶発症
インプラント手術での偶発症の具体的な例をいくつかご紹介します。
3-1.神経麻痺
手術中にドリルやインプラント体が神経や血管を損傷、圧迫させてしまうことで神経麻痺を引き起こしてしまう危険があります。
特に注意が必要なのが下顎のインプラント手術の時で起こりうる麻痺が3種類あります。
①下歯槽神経麻痺
②舌神経麻痺
③オトガイ神経麻痺
ただし、歯科用CTであれば神経の位置を正確に把握できることがほとんどですし、こうしたリスクがあるという前提で慎重に処置を行うことでこうした危険は回避することができます。
3-2.血管損傷
上顎にも下顎にも動脈があり、これを損傷させてしまうと大量出血の危険があります。起こりうるとすると神経麻痺と同様に手術中にドリルやインプラント体が血管を損傷させてしまった場合です。
上顎よりも下顎のほうが注意が必要な動脈が多いですが、こちらに関しても歯科用CTで神経の位置を確認することができますのでこうした危険を回避することが可能です。
3-3.上顎洞炎
上顎の奥歯の部分のインプラント治療の場合は上顎洞炎の危険を回避しなければなりません。上顎洞炎を引き起こしてしまう原因としては下記の3つがあります。
①インプラントを埋め入れる手術の際に上顎洞粘膜を傷つけてしまった
②インプラントが上顎洞粘膜に入り込んでしまった
③上顎の奥歯の骨の量が不足しており、「サイナスリフト」や「ソケットリフト」によって骨の厚みを増やそうとした際に上顎洞粘膜を傷つけてしまった
これらは事前のCTで骨の厚みなどを確認して避けることができるものもあれば、実際のインプラント手術中の歯科医師の技術に左右されるものもあるため、上顎の奥歯のインプラントが難しいと呼ばれる所以です。
3-4.細菌感染

インプラント手術では、歯茎を切開してインプラントを埋入していきます。そのためそこから様々な細菌が血管に入り込み細菌感染(ウイルス感染)を引き起こす危険があります。
対策としては器具や器材の滅菌やできる限り使い捨て(ディスポ)な備品を使用するなどは当然なこととして、それよりも重要視していることが清潔域と不潔域の区別を明確にすることです。
スマイルオフィスデンタルクリニックでは手術が始まる前に手術室を清拭による消毒などでクリーンな状態にしたうえで、清潔域・不潔域の区別を明確にし、それぞれのエリアを担当するスタッフも明確にしています。
これは、どれだけ滅菌した器具を使っていても不潔域に触れたスタッフが触れれば意味がなくなるからです。そのためインプラント手術の際には術者(執刀医)以外にアシスタントスタッフが2〜3名は必須となります。
3-5.骨壊死
骨壊死が起こりうる原因としてインプラント埋入時のオーバーヒートとBP系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)の2つがあげられます。
①オーバーヒート
インプラントを埋入するためにドリルで穴(埋入窩)を作ります(ドリリング)。このドリリングの際に過剰な摩擦熱によって骨壊死を引き起こし、インプラントが骨と固定せずに脱落してしまうことがあります。
そのため、ドリルの回転数を気をつけたり、注水しながら(冷却しながら)行なっていきます。
②BP系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)
骨粗鬆症の治療に使用するビスホスホネート系薬剤が影響して骨壊死を引き起こす危険があります。
明らかな原因は明確にはなっていませんが、これは外歯瘻や病的骨折を引き起こすことにつながり非常に危険です。
3-6.誤飲・誤嚥
インプラント手術では非常に細かい部品を使用するため、誤飲してしまう危険があります。誤飲を防ぐために、咽頭にガーゼを敷いたり、器具に糸(フロス)を結んでおくことなどしています。
それでも、インプラントに装着するネジのような非常に細かいパーツなどは喉が大きく開いていたり、反射反応が起きずに誤飲してしまうことはゼロではありません。
誤飲しても非常に小さなものですので食道に入ってくれれば大きな問題にはならないのですが、万が一、誤嚥してしまったら(気管に入ってしまったら)危険ですので、誤飲してしまった場合は念のため提携先の病院にて胸部のX線撮影を行ないます。
4.安全にインプラント治療を受けるための歯科医院の選び方
ご紹介したとおり「危険」と言われるもののほとんどが歯科医院側がしっかりとした対策を行っていれば避けられるものばかりです。
偶発症は歯科医院側として絶対に避けなければならないものですし、歯科医院側が責務を果たせば避けられるものだと考えています。
それでも予期せぬこととして起こるのが偶発症なので、絶対安全という言葉は使えませんが、限りなくゼロに近づけられます。大切なのは万全な準備をしていても起きてしまうことがあるという前提で慎重にインプラント治療を行うことが大切です。
最後にインプラント治療を受けるときの歯科医院の選び方をご紹介します。
4-1.歯科用CTの有無
インプラント治療において歯科用CTは必要不可欠です。スマイルオフィスデンタルクリニックでは症例に応じて撮影のモードを切り替えたり、2台の歯科用CTを症例によって使い分けたりしています。
また、術前の診断時だけでなく、手術中も随時CT画像と実際の口の中の状況を確認しながらインプラント手術を行っています。
4-2.チーム医療体制による衛生管理
院内感染対策を行うためには滅菌器具などのハード面とスタッフの知識などのソフト面の両方が必要不可欠です。
歯科医院として安全なインプラント治療を提供するために、スマイルオフィスデンタルクリニックでは常にスタッフ研修などを通してチーム全体でインプラント治療に対する知識を深めています。
4-3.インプラント治療の実績が豊富
技術があるかどうかはなかなか判断することができないと思いますが、技術は経験がものをいいますので症例数と実績が目安となると思います。
症例数が多いといっても簡単なインプラント手術ばかり行っている可能性もありますので、ご自身と同じような症例を行ったことがあるか、難しいインプラント手術の実績はどれだけあるのかも確認するのがいいと思います。
そのため、スマイルオフィスデンタルクリニックでは症例数だけでなくどのような症例だったのかもホームページ上で紹介しています。昔の症例などは今見ると恥ずかしかったりもしますし、他の先生からすると色々な感想を持たれるかと思いますが、こうした情報を発信することで、インプラント治療の正しい情報が広まり、より多くの方がインプラント治療でご満足頂けることに繋がると考えています。

・外科治療が必要となります。
・骨の状態によっては仮歯を固定することができず入れ歯を使用する場合もあります。
・治療後の口腔管理が不適切な場合、インプラント周囲に感染、炎症が起きることがあります。
※インプラントは保険外診療です
費用:オールオン4(片顎)・・・195万円(税抜き)
・インプラント治療のご相談はスマイルオフィスデンタルクリニック西野院まで
札幌市西区西野2条6丁目2-10フェリス西野1F
TEL:011-668-6681
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